Book Zazen

書評を中心に自分の好きなことを詰め込んだブログ、光明を失った人生について書き残しておきます。日本でのアニマルウェルフェアの推進に賛成します。

☆今週のために借りた本ー令和4年8月15日(月)猛暑

今週のために借りた本ー令和4年8月15日(月)猛暑

 

お盆休みの前に大学図書館に行ってきました。先週のことだけど、今週の休みを見越して、借りてきたので、「今週のために借りた本」というタイトルです。

いつもより長くいて昼食も食べ、生協の書籍部ものぞき、生協の文具・食料品などを見てきた。

久しぶりに学生気分を楽しんだが、もうこの頃には学生が図書館に寄り付かない。毎度のことだけど、もったいないよね。大学の施設って、グループ会議室なんかもそうだけど、学生時代にうまく使いきれないぐらいだよね。学生にはもったいないというか、社会人の方が必要としているようなものもあるね。ラーニングコモンズとか。

古賀敬太『ヴァイマール自由主義の悲劇』(風行社、1996年)

*法律学の辞典を見ていたら、スメントが載っており、「スメント学派は戦後のドイツ公法学の主流をなしている」との記述があったので、読まないといけないと思った(有斐閣法律学小辞典』749頁)。

学生時代にはシュミット、ケルゼン、エーリッヒ・カウフマンなどに興味があったのだが、今回はスメントについて読むために借りて見たのである。

私の履歴書―第十九集』(日本経済新聞社、昭和38年)

*戦時中の政治史に登場する賀屋興宣法務大臣という肩書で出ている)が藤井稜威の息子で、加茂百樹という国学者で、靖国神社30年間奉職した人物の甥であることをあるきっかけから知った。

筧克彦の法理学講義に感銘を受けたとのこと(219頁)。巣鴨プリズンでの反省。大東亜戦争開戦時の閣僚として責任を感じているとの記述など興味深い。

現代にはなかなかいない骨太い人物。

坂本多加雄『市場・道徳・秩序』(創文社、1991年)

*大人=社会人になって市場経済の重みが身に染みた。本書の前半には、福澤諭吉徳富蘇峰の市場観、経済観が知りたくて。まずは坂本氏のこの本を思い出し、借り出した。

●外部リンク:西部邁の評が付いている。

www.suntory.co.jp

田中裕『ホワイトヘッド』(講談社、1998年)

*永井均の書評で本書を読んだ記憶があるが、ずっと買わずじまいで、新刊市場には消えてしまった。その時印象に残ったのは、ホワイトヘッド理論物理学者としての業績だった。

ホワイトヘッドの『相対性原理』は、決してアインシュタイン相対性理論の解説ないし入門書などではない。それは、アインシュタインの重力理論に代わる新しい重力理論を提示した著作でもあった。このホワイトヘッドの重力理論は一九七〇年代になって一般相対性理論の実験的検証の問題を徹底して論じたアメリカの物理学者ウィルによって反証されるまで、アインシュタイン理論の対抗馬の一つに数えられた理論である」(19頁)

ファインマンにバカにされたホワイトヘッド系の哲学の知らざる一面である。

すごいよね。ホワイトヘッド

●過去記事:ホワイトヘッドをしっかりやらなければと思いつつも、この年まで持ち越している。

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マイケル・J・クロウ『地球外生命論争 1750-1900』(工作舎2001)

*原著はMichael J. Crowe, "The Extraterrestrial Life Debate" 1986, Cambridge University Press工作舎の目録で面白そうな本が出ていたのは知っていたが、簡単に買える値段ではなかったから、まとまった休みが取れる今週少し触れて置きたいと思い借り出した。

はっきり言って、高いです。

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高橋正和『三浦梅園』(明徳出版社、平成三年)

*江戸時代の大分にいた思索者・三浦梅園。山田慶児の著作は難しくて読み飛ばしたままだが、この休みを利用して、もう少し詳しくなりたい。そして晩年には自然哲学者に移行していきたい。

 

J・ヒリス・ミラー『批評の地勢図』

*著者名自体は、坪内祐三さんのインタビューで知ったのだが、そろそろ何か読まないと。忙しさを言い訳にしていたら、人生の幕切れとなってしまうから・・・。

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鈴木成高『ヨーロッパの成立・産業革命』(燈影舎、2000年)

*京都学派の歴史家。産業革命のパートの「運輸革命」では、鉄道の歴史・長距離化・帝国主義との関係が扱われていて、今の私にとって興味深い。

解説は川勝平太氏。

佐藤信之『鉄道と政治ー政友会、自民党の利益誘導から地方の自立へ』(中公新書2640,2021年)

*藤井聡氏の新幹線論・インフラ論などを見るときに、他の論者にもあたっておきたいと思い、借り出し。

 

もちろん全部読めるわけではなく、これからの読書のあたりをつけて、頭の中に

インデックスを作るために利用するのである。

 

ひとまず、以上。Good Night!

 

 

 

今日買った本 ー佐伯啓思氏『経済学の方法』& 布袋バンドスコア&『富岡鉄斎 大田垣蓮月』令和4年8月7日(日)酷暑

今日買った本 ー佐伯啓思氏『経済学の方法』& 布袋バンドスコア&『富岡鉄斎 大田垣蓮月』令和4年8月7日(日)酷暑

 

月一のお出かけでした。

 

今日買った本

富岡鉄斎 大田垣蓮月』(新学社、2007年)

近代浪漫派文庫。保田與重郎の文庫本シリーズが出ている出版社といえば分かるだろうか。「大東亜戦争詩文集」や「山田孝雄/新村出」などは持っているが、在庫がなくならないうちに購入しておいた。

鉄斎は水墨画の達人であり、蓮月は幕末に勤王の志士らと交流があった歌人である。

 

『TOMOYASU HOTEI SUPER BEST 1982-1990』(DOREMI、2020年)

ドレミ楽譜出版社布袋寅泰のバンドスコア。ボウイ時代のものからソロのものも含まれている。ギターを復活させるために、2本目のギターを購入するために、練習しておく。エディ・コクランの「C'MON EVERYBODY」が掲載されているので、この巻を買った。

 

佐伯啓思『経済学の思考法ー希少性の経済から過剰性の経済へ』(講談社学術文庫2635、2020年)

原著は2012年に『経済学の犯罪』というタイトルで出ていた。それの加筆修正版。

今日買ったばかりだから、ざっくり見ただけだけど、印象に残ったのは、経済学の対象とは何か、冷戦が終わり自由主義陣営が勝利した後、グローバル資本主義の恩恵に最もあずかったのは中国だったという指摘(121頁)。

氏が1970年代に大学院で経済学を学んでいた頃の経済学における諸学派の存在は、フリードマンケインズ派の対立を日本の今日の文脈と絡めて理解しようとする私にとって興味深いのでだが、アメリカの哲学者リチャード・ローティーの指摘について言及し、シカゴ学派の勝利以後、アメリカでも日本でも、左翼的なマルクス主義は、経済学部から文学部へ移籍していったのである。つまり階級闘争を放棄し、ジェンダーや文化的な多様性と差異をめぐる闘争へと足場を変えていった」(142頁。太字引用者)というくだりが、「今週の踊るヒット賞」であった。

 

 

今日の一曲ーNick13 "In the Orchard"

というサイコビリーのミュージシャンらしい。あまり分かっていないが、ロカビリーから派生したジャンルで、ホラーパンクの影響を受けているという。

古き良きアメリカみたいな感じ。私は女性への敬意や憧れが詰まった作品だと思う。

若い女性が結婚し、子供ができ、やがて年をとり、家族に愛されつつ息を引き取る。

そんなことは描かれていないけど、女性の美しさには悲哀が含まれている。

 


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今日借りた本ー丹羽春喜『新正統派ケインズ政策論の基礎』 令和4年7月30日(土)猛暑

今日借りた本ー丹羽春喜『新正統派ケインズ政策論の基礎』令和4年7月30日(土) 猛暑

 

大学はいい。私の好きな施設が揃っている。

食堂、購買(文具、本、電化製品)、図書館。

普段の生活はここでいいぐらいだ。

 

例えば、エレキギターのチューナーに使うボタン電池もそうだ。

CR2032のボタン電池が欲しかったが、コンビニやドラッグストアでは、2つで1セットの500円ぐらいのものしか売ってなかった。

探しに行くのも面倒だから、買おうかと思ったが、2つもいらない。

大学にいったら1つのものが200円ぐらいで売っていた。

これは便利。

 

●今日借りた本ー丹羽春喜『新正統派ケインズ政策論の基礎』(学術出版会、2006年)

丹羽春喜 氏といっても、いまの若い人には分からないだろうが、私が10代の頃には『諸君!』という雑誌に登場していた。たった1回見た限りで、読み込んでいた訳ではなかった。その時には興味がなかった。経済政策は、「純度」の低い思想に思えたからである。

でも、社会人となり、経済社会のわき役でこの社会を見ている内に、経済政策に興味を持つようになった。

 

さて著者は昭和五年生まれであり、関西学院大学出身の経済学者であり、京都産業大学などを経て、大阪学院大学の経済学部教授であったとのこと。経済政策論や比較経済体制論が専攻である。ソ連の経済についても研究があり、ケインズに関する著作も数冊ある。

 

本書は当時のR.E.ルーカスやM.フリードマンらによる「反ケインズ主義」の潮流に対して、「ケインズ的政策」を擁護しようとするものである。

 

中身は数式も使った専門論文なのであって、この年齢になっても理解できていないことが情けない。(論文の初出は、大体であるが1990年~2020年までのものである。)

 

藤井聡氏が『維新改革の正体』(平成24年産経新聞出版)で、M.フリードマンシカゴ学派を批判していたのを読んで以降、我が国におけるケインズ政策と、その擁護者らの世代交代について論じて見たかったから、丹羽氏の名前を思い出して探したのである。(丹羽氏の話はここまでなのだが・・・。)

 

*追記(R4.7.31):「ケインズ政策と、その擁護者」といってもあくまでも日本の「保守派」に限定して語っている。ケインズの入門書は、岩波新書伊東光晴氏が出しているが、彼は「リベラル」派であろう。なぜ日本の経済政策において保守派にはハイエクフリードマン系の「保守派」とケインズ系の「保守派」に別れたのかが、私の問いなのである。

●過去記事:ケインズと日本の「保守派」について

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私の若いころは、谷沢永一氏、堺屋太一氏、日下公人氏、小室直樹氏など経済や財界に詳しい評論家が活躍していたが、当時の私は呉智英氏の影響を強く受けていたから、これらの評論家を愛読することはなかった。

 

呉智英は『読書家の新技術』の中で、祥伝社の「知的サラリーマン・シリーズ」を「俗流教養主義」と批判して、以下のように述べていた。

「このシリーズは、現在十数冊出ており、まだ継続刊行されているが、この著者たちはほぼ共通して、最近勢いを得ている保守派の知識人たち(以前から頑張っていた保守派の知識人たちではなく)である。竹村健一渡部昇一堺屋太一長谷川慶太郎日下公人谷沢永一山本七平・・・・といった面々だ。」(呉智英『読書家の新技術』朝日新聞社、1987年、45頁)

 

小室直樹氏と山本七平氏は今でも定評があるのかも知れない。ただ、当時の私には彼らが「俗流」という言葉が、刻み込まれていたのである。

 

あれから25年ぐらい経ち、経済社会の中で生計を立てて行かなければならない身としては、「俗流」であっても(丹羽氏のことではないよ)、経済に詳しい評論家も読んでみたくなった。

 

最後は全然丹羽氏に関係がない話になったが、現在日本社会に多大なインパクトを与えている藤井聡氏の経済政策論には、前史があったのではないかということを、調べてみたいのである。

 

呉智英氏の『読書家の新技術』については、以下の過去記事を参照されたい。

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今週買った本ー岡本隆司『曾国藩ー英雄と中国史』(岩波書店、2022年)ー令和4年7月23日(土)晴れ

今週買った本ー岡本隆司曾国藩ー英雄と中国史』(岩波書店、2022年)ー令和4年7月23日(土)晴れ

 

岡本隆司曾国藩

購入動機

 私が清末の政治家・曾国藩をはっきり意識したのは、安岡正篤氏の『東洋思想と人物』(明徳出版社、平成十一年)によってであった(以下、敬称略)。名前は世界史の教科書にも出ていたのかも知れない。

 

安岡正篤『東洋思想と人物』

安岡の同書は、大正十年に『支那思想及び人物講話』として出版されたものであり、目次は下記のようになっている。

(目次)

支那思想と人物の研究について

儒家政治思想の根本問題

墨家の社会思想及びその運動

楊子の個人主義

荘子と死生観

韓非子法治主義

敬慕すべき凡人白楽天

流離の間における天才蘇東坡

哲人宰相湛年然居士

高青邱詩日記

偉人曾国藩の内面生活

 

安岡正篤「偉人曾国藩の内面生活」

冒頭、職業生活が内面生活を荒廃させるという問題を提示し、克服できない者は曾国藩の内面生活を見てみよという。曾国藩の生涯を「敬」という言葉で表し、曾が日常生活に細心の注意を払っていた人物であると説く。その上で安岡は、我々にこう語りかける。

「我々が暮らしてゆく一日一日を実際によりよくしてゆくことの他に道徳も宗教もないのである。すなわち我が一日一日を誠敬にしてゆくかが彼の問題である」(334頁以下)。

また安岡は、「すべて道に入る者に普遍必須な用意は精神の統一、注意の集中である」(336頁)として、曾が「静座」を重視したと説明し、曾が「動中の工夫」の人であったと説く(338頁)。

そのほか、言葉を慎むことや、試験に不合格になったことごときで落ち込まぬように弟に伝えたエピソードを語り、読者に曾国藩の人物の素晴らしさを語るのである。

 

そのような偉人の伝記として、さらなる知識を得たいと思い、本書を手に取ったのである。とはいえ、知らない著者の本を手に取って、失敗したくないという気持ちもあった。

 

●過去記事:私の読書の前提を、安岡正篤氏から学んだ言葉で説明しているので、是非ご覧ください。

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だがよく考えると、著者の岡本隆司氏は、『表現者クライテリオン』の2021年3月号にも登場し、「中国を知らない日本人」と題して、藤井聡氏が話を聴いていた。だから、ひとまず読んでみようと思い、早速購入した。

 

パラパラ見た限り、曾国藩の生涯を、彼を取り巻く政治史を中心に描いた書のようである。(今日買ったばかりなので、ページをめくっただけである。)

 

1980年代に『曾国藩全集』を中国で買って以来、同全集が「手になじんだ」ものであるという岡本氏だけに、たくさんのことが書かれてあるので、その点は、lesemeisterの書物として素直に吸収したい。また岩波新書には同じ著者の『李鴻章』『袁世凱』が収めれられており、時間とお金があれば、購入する予定だ。

 

とはいえ、私の憧れる学問は「自分の内心に強く響く、自分の生命・情熱・霊魂を揺り動かすやうな文獻を探求し、遍参した」(安岡正篤陽明学研究』明徳出版社、平成十一年、2頁)なので、依然として安岡正篤の「偉人曾国藩の内面生活」の方が好きだ。

 

でもまだ読んでいないので、他の本も含めてチェックしたいと考えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

最近のヘビーローテーションーLEX「大金持ちのあなたと貧乏な私」 令和4年6月20日(月)晴れのち曇り

最近のヘビーローテーションーLEX「大金持ちのあなたと貧乏な私」 令和4年6月20日(月)晴れのち曇り

ヒップホップの動画でフューチャリングされているのを見たことはあったが、単独の動画を何回も見たのはこれが初めて。最近のヘビーローテーション

 

あるDJの動画によると、XXX Tentacionにも影響を受けたといっていた。

私にとっては Lil Peepの"Afwul thing"のように純粋な瞳をもって、世の中を見た作品かと思った。

 


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若いっていいな。アーティストっていいな。

仕事の昼休みに聴いているぜ。


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過去記事:Lil Peepについて。最近のヘビーローテーションーLEX「大金持ちのあなたと貧乏な私」 令和4年6月20日(月)晴れのち曇り

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