鹿島茂氏の回想記事ー令和二年九月二十六日(土)
日経の夕刊文化欄、「こころの玉手箱」はフランス文学者の鹿島茂氏の回想だった。
仏文好きになりかかっている私にとって、時宜にかなった記事だった。
内容は本好きにとって、役に立つ話しだ。
会員記事だと思うが、雰囲気だけでも。
内容
①9/14
パリを研究対象として選んだ話。
1984年頃、大学専任講師で年収は約450万円だったという。1年間の在外研究期間が過ぎれば、フランスの国立図書館が利用できなくなる。バブル時代だったから、銀行からお金を借りて、パリに関する古書や古文書を買い漁ったという。
②9/15(火)
パリという都市を研究対象にした鹿島氏は、古書は古文書を購うために、借金までしたという。稀覯本やイラスト本などを集め始めたという。
③9/16(水)
ペーパーナイフの必要性
活版印刷によるフランスの古書は、フォリオ(大判の紙)を8分割して印刷したもので、それを3回折るだけで製本したものがある。読者は、袋上になった部分を自分で切る必要があるから、ペーパーナイフが必要だ。高価なものではなくてもよいという。
*私も、読めないデカルトの『省察』の原書を購入したことがある。そんなに古い本ではないが、袋上になっていたので、パニックになった。何となくは知っていたが、そういうことだったのか。カッターで切ってしまって、大切な本をガサガサにしてしまった。
高価じゃなくてもよいということだから、手に入れよう。そして、残りの部分はペーパーナイフできれいに切ろう。
④8/17(木)
コレクションを収めた書斎を、撮影スタジオにして貸し出し、古書代の対価を得た話。
⑤8/18(金)
革装丁の古書のためのクリームが必要で、それは靴のクリームではダメ。それは脂分が多いから。サフィール・レノヴァトゥールやサフィール・デリカなどが必要だという。
感想
いくら本好きでも、借金してまで、本は買えないな。マネできないし、マネしたくない話だ。大学の専任講師が何を担保にして、お金を借りたのかは謎だ。
でも、書斎をスタジオにしたのは、利殖の才があるな。普通、自分の巣には入られたくないものだが。
フォリオ判の意味がはっきり分かった。国会図書館のサイトに下のようなものもある。
また、稀覯本については荒俣宏氏も負けていないと思うので、リンクを貼っておく。