歴史家ニュートンのことーRob Iliffeの"Newton"ー令和二年四月二十八日(火)晴れ
私とニュートンって接点がなさそうだと思うだろう。その通りだ(笑)。
昔、小山慶太氏の本でケインズがニュートンの遺稿を競り落としたとかという話か何かで、ニュートンの錬金術関係の話が書いてあって、「試験管を持った白衣の科学者」とか「近代的合理性に固まった科学者」としては、捉えていなかった。でもそれ以上は断片的にしか知らなかった。
先日来、イスラーム復興運動を調べていた関係から、その中心地たるエジプトの話がよく出て来た。
そういえばニュートンの本にもエジプトについて何か書いてあったなと思い出し、Rob Iliffeの"Newton"を本棚から取り出して、索引を調べてみた。
エジプトについて2か所。太陽中心の宇宙観についてと、晩年に取り組んだ年代学でのエジプトへの言及があった。
巻末の文献案内を見ると、
"Manuel's Isaac Newton Historian (Cambridge, CUP, 1963) remains the best account of Newton's chronologival writings"(p.133)
とあり、「フランク・マニュエルの『歴史家ニュートン』が今もなお、ニュートンの年代記の業績の最良の入門書である」(拙訳)と書かれている。
早速、検索ををかけてみたが、同じ著者の『ニュートンの宗教』(法政大学出版局)やほかのテーマの編著がヒットするのみで、『歴史家ニュートン』の翻訳はないようだ。
原書は英語だからチャレンジしてみようと思っても、手ごろな値段ときれいな状態の本が古本で見つけられなかった。
日本は翻訳大国だと言われるが、案外、重要な本が訳されていないものである。
これを翻訳して、日本語で読めるニュートン文献の世界を広げれば、少しは知的世界に貢献したことになるだろうか。
取り組む決意を持ちたい。
BBCの勉強サイトでニュートンの生涯が簡潔にまとめられている。
英語だがざっくりビジュアルを見てもおもしろい。