日本の思想
はじめに 大森曹玄翁のことを初めて知ったのは、まだ20代前半の頃だったと思う。当時興味を持ち始めていた「禅」について知りたいと購入したのが『別冊太陽31 禅』。その紹介記事で、翁が道場を背景にして直心影流の稽古姿をしている写真が掲載されていた…
5.山本七平『論語の読み方』ー会社の採用試験の参考にする『論語』(77頁) 本節では、山本七平氏の『論語の読み方』が批判される。例によって、本文を私の言葉でまとめ直し、紹介する。 ①山本文明論のイデオロギー性(77頁) 呉氏による山本氏の理解をま…
この回では、連載③でまとめた批判について少し考察をはさむ。 (1)宮崎市定氏の現代語訳に全面的に依拠している点への批判について。 (2)「理想主義者、変革者としての孔子を見ておらず、卑小な現実哲学に支配された孔子像を提示している」という点につ…
先日、角川ソフィア文庫に入っている折口信夫氏『古代研究』のⅤとⅥを購入にした。 折口の名は当然知っていたが、最初に何を買って良いのか分らなかったこともあり、折口の世界にうまく興味が出てきて、自然に接続できるまで読まずにきた。 だから、重要性は…
4.谷沢永一『古典の読み方』の読み方ー 「常識の奴隷」をあげつらう常識の奴隷(57頁~) この節で呉氏は、呉氏が「俗流教養主義」の代表とする谷沢永一氏の読書論たる『古典の読み方』を批判する。 *個人的には、本節が第3部ブックガイドと並んで重要な箇…
Ⅲ.読書論を読書する(つづき) ここで批判の対象として取り上げられるのが、祥伝社の「知的サラリーマンシリーズ」である。同シリーズの書き手は、、竹村健一氏、渡部昇一氏、堺屋太一、長谷川慶太郎氏、日下公人氏、谷沢永一氏、小室直樹氏、山本七平氏ら…
これから本書の紹介をしようと思う。不規則な仕事、家庭生活、(永久)転職活動を続けながら、本書をまとめることは容易ではなかった。ゆえに、何度かに分けて連載することにする。 呉智英『読書家の新技術』(朝日文庫、1987年) はじめに この本を手に入れ…