Book Zazen

書評を中心に自分の好きなことを詰め込んだブログ、光明を失った人生について書き残しておきます。日本でのアニマルウェルフェアの推進に賛成します。

大森曹玄翁の大河①

はじめに

大森曹玄翁のことを初めて知ったのは、まだ20代前半の頃だったと思う。当時興味を持ち始めていた「禅」について知りたいと購入したのが『別冊太陽31 禅』。その紹介記事で、翁が道場を背景にして直心影流の稽古姿をしている写真が掲載されていた。その姿は「お坊さん」というよりも「武士」、もっというと「志士」のような印象を受けた。

 

もう昔のことなので、あまり正確に覚えていないが、著作としては、曹玄翁の『禅の高僧』あるいは『山岡鉄舟』に接したのが、最初だったと思う。

 

私は特に『山岡鉄舟』から影響を受けた。この著作で学んだ行動原理は、その後の私の人生の屋台骨となった。とはいえ、大きく膨らんだ私の志も、約20年の年月を経て、小さくしぼんだ感がある。

  

安政の大獄で処刑された志士・橋本左内の『啓発録』には、左内の旧友が、ともに学問をした学友のその後について触れて、左内の志操堅固を讃えた文が載っている。

  

「かつて東篁(とうこう)先生の学塾で意気盛んに談論しつつあった仲間たちを見わたしてみても、たいていわたくしと同様ほとんんど進歩がなく、甚だしいものは、あのころの盛んな意気は雲や煙のように消え去って、昔の面影はまったく見当たりませんでした」(橋本左内『啓発録』講談社学術文庫、昭和五十七年、15頁。現代語訳は伴五十嗣郎氏のものによった)。

 

これは今の私のことではないだろうか。こんな姿にだけはなりたくないと思って生きてきたのに。

  

 

このブログは遺書のつもりで、これまでに影響を受けて、書き遺しておきたいことを書く。他に書きかけのものもあるが、構わずにすすめていく。構想もなく、光明もなく。

 

あるいはかつての自分に語りかけるように書く。まだ何も知らなかった自分に、成長した自分が伝える言葉ほど、心に響いてくる言葉があるだろうか。

 

かつての自分へ。

 

手水場の写真