Book Zazen

書評を中心に自分の好きなことを詰め込んだブログ、光明を失った人生について書き残しておきます。日本でのアニマルウェルフェアの推進に賛成します。

志と努力が足りなかったのかー西部邁氏『大衆への反逆』を再読して 令和元年7月20日(土)

志と努力が足りなかったのかー西部邁氏『大衆への反逆』を再読して 令和元年7月20日(土)

「厄年になっての徹夜はつらい。まして朝になっても昼になっても眠れぬのは本当につらい。仮眠をとるべく神田のビジネス・ホテルに向かった。ところが催眠の足しにでもと思って購入した雑誌に載っていたのが激越なる国防論議ときている。ついつい議論にのめりこんで、国家とは軍隊とは生命とはといった大問題が困憊せる脳にぎりぎりと食い入ってくる」(西部邁氏『大衆への反逆』文春学藝ライブラリー、2014年、258頁)

 

毎度、このような話で恐縮だが私はなぜ現在のようなみじめな境遇になったのだろうか。とにかくそればかりを考える。

 

 

冒頭の文章は、西部邁氏『大衆への反逆』の「Ⅲ 体験」の「笑三昧」所収のものである。同書によると西部邁氏は昭和十九年(1939)の生まれであるから、この時40代前半だったはずである。

 

前も書いたように、私は高校生ぐらいにハードカバーの新刊書としてこの本を買った。その時は、このくだりに共感したような気がする。つまり、自分もそのような夜通し考えたい問題を抱えていた。

 

でもこれが書かれた西部氏の年齢に近づいてきて私にそのような情熱はない。

 

睡眠は最も大事なものであって、絶対に削らない。

 

あまりにも怒りを感じるような記事は、最初から読まない。たとえ「向き合っていない」などと言われても。

 

そして朝早くおきてジムに行く。健康的な生活をする。それでいいい。

 

西部氏のような学生運動経験もなく、大学教授経験もなく、討議の実践もない私が同じようなことをすると「不健康な思想中年」になってしまう。

 

学術界でキャリア形成できなかったし、言論界にも何の足跡も残さなかったし、いい曲も作らなかった。

 

何の人生だったんだ。これは。

 

 

 

大衆への反逆 (文春学藝ライブラリー)

大衆への反逆 (文春学藝ライブラリー)