英検1級合格体験記ー2次試験ー
私は2015年第2回の英検1級に合格した。1次試験に合格しているとは思っていなかったから、2次試験の準備に使える時間はわずかだった。10月23日に合格を知り、11月8日が二次試験の当日だったから、約2週間しか準備にあてられる期間がなかったのである。
会場の雰囲気
思った以上に人が多く、「みんな1級1次の合格者なんだなー」と思い、自分を小さく感じた。もしかしたら他の級の人もいたのかも知れない。若い人も結構いたと記憶している。またスーツケースを持っている人もいたはずだから、遠方からも来ていたのだろう。
面接委員
女性の英語ネイティブスピーカーと日本人男性の2名である。
ショートスピーチ
時間切れだった。
最初にスピーチするテーマを5問のなかから選ぶ。自分が選んだ「グローバリゼーション」について以外のテーマは全く覚えていない。それぐらい焦った。
スピーチの途中で、時間切れの合図。「落ちた」と思った。時間切れは、不合格と何かで聞いていたからである。だが、ネイティブスピーカーのほうの面接委員が、続けるように促してくれた。「せっかく準備した内容を聞くためのお情けでいってくれているのだな」と思ったが、「主張プラス論拠」という表現の仕方を崩さずに最後までスピーチした。結構時間オーバーだったと思うが、最後まで聞いてくれた。
質疑応答の部分では「グローバリゼーションとアメリカナイゼーション」というような普段からある程度まで考えている話題が出てきて、対応できた。
ネイティブスピーカーの面接委員は、傾聴する姿勢の人だったと記憶している。
とはいえ、自分の不甲斐無さを実感して、面接は終了。感謝の意をあらわして、部屋の外へ。その日のテストは終了した。
何週間後だっただろうか。硬い郵便物が届いた。その中には、合格証書と個人成績表が入っていた。
「分野別得点とその評価のポイント」の項目を見てみると、下のようになっていた。
SHORT SPEECH:21/30
INTERACTION:24/30
GRAMMAR AND VOCABULARY:16/20
PRONUNCIATION:16/20
合計77/100 (自分の得点/配点)
特に気になっていた「ショートスピーチの評価のポイント」には、「与えられたトピックの中から一つを選び、論点とその根拠をまとめ、首尾一貫したスピーチを組み立てることが求められます」とある。
時間切れであっても、主張プラス根拠で組み立てられたスピーチなら評価の対象であったのかも知れない。私もそのつもりで対策はしてはいたが。
対策
テスト対策として使ったのは、主として次の4冊である。
植田一三氏『英検1級 100時間大特訓』(ベレ出版、2012年)★★★★★
特に第6章の「英検1級エッセイライティング&2次試験」の定型的な表現が役に立った。
植田一三・上田敏子氏『英語で経済・政治・社会を討論する技術と表現』(ベレ出版、2013年)★★★★☆
「主張プラス論拠」を話題ごとに採取すること、日本語では言うことができても、英語でどのように表現してよいのかわからないことを覚えることに役立った。
また、日頃考えていない、あるいはまとめていない話題について試験で対応するためにも役立つだろう。
"Pros and Cons-A Debater's Handbook 19th edtion" Routledge, 2014.★★★★☆
「主張プラス論拠」を採取するのに役立つ。英語の本。
全体の構成として、
A.哲学・政治理論
B.政体・統治
C.国際関係
D.経済
E.社会・道徳・宗教の話題
F.文化・教育・スポーツ
G.犯罪と罰
H.健康・科学・技術
I.連合王国の争点(United Kingdom issues)
となっている。
『14日でできる!英検1級二次試験・面接 完全予想問題』(旺文社、2015年)
★★★★☆
英検1級2次試験にフォーカスした本として良い。面接のことがよく分かるし、配点も分かる。
まとめ
英検1級に合格したことで、何が変わったか。何も変わっていない。
もはや英検のためだけにやる試験勉強の時間・お金も要らなくなる点は、うれしい。だが、それだけである。私は英語関連の職業をしていないのだから、自分で積極的に活用していかない限り、特に何も変わらない。
とはいえ、試験に取り組む過程で、情報を集め、書籍を購入し、少ない時間でテスト対策をする良い経験は積んだ。また、単語を記憶し、長文読解し、エッセイなどの対策をしたことは、英語力向上に役に立ったことは、間違いない。
でもまだこの経験を社会に還元したとは言えない。だから、次の目標は、英検1級に合格する過程で身につけたことを社会に還元することである。