人生の決勝点ー新渡戸稲造『逆境を越えてゆく者へ』(実業之日本社、2011年)
「自分の同僚や友人が不正な手段を使って富を積み、地位を上げたとしても、また名声を海外にとどろかせたとしても、羨むにはあたらないし、彼らと較べて自分は敗北者だと小さくなることもない」(212頁)
こういう精神で生きていきたいものだが、問題は単なる不正で成功したばかりとはいえず、ある種の能力には長けている人物もいるし、そういう人を見てきた。
「勝って驕らず、負けて遜らず」と行きたいが、負けた方は、生計を立てていくことも含めて、腰を低くして生きて行かなくてはならなくなる。腰がひくいことと、遜ることはちがうが、いままで嗤われなかった奴に、嗤われ、見下される。
「無知な人間に笑われることがあっても、その人間が無知なのだから気にすることもない」(210頁)
というが、そうも言っていられない。ただ惨めなだけの人生なのか。
もう行きます。