『老人Z』の思い出ー令和三年七月四日(日)
もうすぐ夏本番である。
私の子供の頃、夏休みと言えば、当時やっていたスポーツと近所で遊ぶ以外には、ゲームの時間とアニメの時間が増えた。
中学生の頃だった。やりきれない日常から逃避したくて、レンタルビデオ屋さんから、アニメ映画のようなものを借りてきたりしていた。そんな中で漫画家・アニメクリエーター
の大友克洋氏の作品も見たと思う。
小学校の頃から、マンガを描いてみたいと思っていた。でも、高校入学ぐらいを境に、そんな気持ちもなくなっていった。私の場合、1コマを描くのに、ものすごく時間がかかったからである。
それでも作品世界に没入することは好きだった。
夏休みの深夜に、大友克洋の『AIKIRA』ともう一つ、機械のベッドで老人を介護する話がテーマの『老人Z』というのがやっていた。どちらも大友作品と言っていいのだと思うが、その時の私にとって『老人Z』はあまり見たくない作品であった。
自分の現実から逃避したかったから、自分が大人になる姿も想像できなかったし、ましてや自分が老人になった時のことなんて考えたくなかったからだ。
最近、新型コロナウイルスの大流行と、ロボットの発達で、人間をアシストするロボットに注目が集まっているという話を読んだ。散歩しながら、『老人Z』のことを思い出した。
筋書きもほとんど覚えていないし、今から検索する気もない。でも、コロナ下の夏休み、自分が子供だったらどう過ごすのだろう。
もはや現実逃避できない。現実逃避すれば、生計を立てて行けなくなる立場だからだ。
でも、歩きながら、ふとそんなことを思い出した。