Book Zazen

書評を中心に自分の好きなことを詰め込んだブログ、光明を失った人生について書き残しておきます。日本でのアニマルウェルフェアの推進に賛成します。

日本の思想

三浦雅士氏『身体の零度―何が近代を成立させたか』ー令和三年七月三十一日(土)酷暑

三浦雅士氏『身体の零度―何が近代を成立させたか』ー令和三年七月三十一日(土)酷暑 「古代文化のなかでは、競技がつねに神に捧げられた祝祭の一部をなし、幸をもたらす神聖な儀礼として、不可欠なものとされていた。この祭祀との関連が、現代のスポーツで…

読書中ー今野元氏『吉野作造と上杉愼吉ー日独戦争から大正デモクラシーへ』(名古屋大学出版会、2018年)★★★★★

読書中ー今野元氏『吉野作造と上杉愼吉ー日独戦争から大正デモクラシーへ』(名古屋大学出版会、2018年) 「上杉愼吉や穂積八束ら没落した「神権学派」の奇行を冷笑するといった流儀では、日本近代史研究は深まらない」(6頁) 著者の今野氏は、マックス・ウ…

軍師の心構えー『松翁論語』 令和三年五月二十三日(日)晴れ

軍師の心構えー『松翁論語』 令和三年五月二十三日(日)晴れ 「立派な軍略を立てたら、それを大将に進言して、これを用いさせなければならない。つまり、用いさせる方法にも、軍略と同じだけの価値がある。」(『松翁論語』PHP研究所、2005年、214頁) 子供…

「事上磨錬」ーこれからの目標ー令和3年4月21日(水)晴れ

「事上磨錬」ーこれからの目標ー令和3年4月21日(水)晴れ 「事上磨錬」ーこれからの目標ー令和3年4月21日(水)晴れ 三島由紀夫「革命哲学としての陽明学」(『行動学入門』文春文庫、1974年所収) 山田準『陽明學講話』明徳出版社、平成九年 まとめ 晴…

「位なきを患へず、立つ所以を患へよ」ー安岡正篤『朝の論語』より 令和三年四月五日(月)

「位なきを患へず、立つ所以を患へよ」ー安岡正篤『朝の論語』より 令和三年四月五日(月) 「子曰く、位なきを患へず。立つ所以を患へよ。己を知らるること莫きを患へず。知らるべきを為すことを求めよ」(『論語』里仁第四) 5年ぶりの苦境に立たされてい…

本物に触れたい ー『男爵山川先生遺稿』 令和三年四月三日(土)くもり

本物に触れたい ー『男爵山川先生遺稿』 令和三年四月三日(土)くもり 本物に触れたい ー『男爵山川先生遺稿』 令和三年四月三日(土)くもり はじめに 「マルクス主義は科学にあらず」 1.科学とは何か 2.天体力学の導入 3.海王星の予言に見る科学の特色 4.…

日本のために日本だけを見ていてはいけないー副島隆彦氏『アメリカ騒乱に動揺しながらも中国の世界支配は進む』(ビジネス社、2021年

日本のために日本だけを見ていてはいけないー副島隆彦氏『アメリカ騒乱に動揺しながらも中国の世界支配は進む』(ビジネス社、2021年) 副島隆彦氏の本を買ったのは久しぶりだ。私は、毀誉褒貶があっても副島氏の「覇権」系の本には学ぶ点があると考えている…

『<仏教3.0>を哲学する』を読書中ですー令和二年十二月三十日(水)

『<仏教3.0>を哲学する』を読書中ですー令和二年十二月三十日(水) 藤田一照・永井均・山下良道氏らの鼎談本『<仏教3.0>を哲学する』(春秋社、2016年)を読み進めています。 マインドフルネスなどが有名になって、前々から気になってはいた。でも、強…

今月の月刊誌ー令和二年十二月二十二日(火)

今月の月刊誌ー令和二年十二月二十二日(火) *エズラ・ヴォーゲル氏のご冥福をお祈りいたします。 関連記事:このシンポジウムのトイレで、ヴォーゲル氏を真近で見ました。 book-zazen.hatenablog.com 仕事と家の往復で何もできていない毎日。 新聞を見て…

現代の「聖人」ー呉智英と永井均のクロスオーバー 令和二年十一月二十八日(土)

現代の「聖人」ー呉智英と永井均のクロスオーバー 令和二年十一月二十九日(日) お気に入りの著者がクロスオーバーしてほしいと思ったことはないだろうか? 私にとって思想家・呉智英氏と哲学者・永井均氏とが、同じ論文について論じたことは、お互いの名前…

小泉信三「進歩主義への気がね」ー令和二年十月十一日(日)

「いわゆる「進歩的」な考えを抱いているものが進歩的なことをいうのは当たり前で、誰にも遠慮はいらないが、進歩主義への気がねから進歩的なことをいい、それを読んだものが、気がねに更に気がねをして、いわば進歩主義言論の拡大再生産を行うようなことに…

書評③・福田和也氏『奇妙な廃墟ーフランスにおける反近代主義の系譜とコラボトゥール』(国書刊行会、平成元年) 第二章 モーリス・バレス

書評③・福田和也氏『奇妙な廃墟ーフランスにおける反近代主義の系譜とコラボトゥール』(国書刊行会、平成元年) 第二章 モーリス・バレス 書評③・福田和也氏『奇妙な廃墟ーフランスにおける反近代主義の系譜とコラボトゥール』(国書刊行会、平成元年) 第…

英語のススメ:ルーシー ヒューズ=ハレット(Lucy Hughes‐Hallett)の"THE PIKE" (『ダンヌンツィオ 誘惑のファシスト』)ー令和二年八月十四日(金)晴れ

英語のススメ:ルーシー ヒューズ=ハレット(Lucy Hughes‐Hallett)の"THE PIKE"(『ダンヌンツィオ 誘惑のファシスト』)ー令和二年八月十四日(金)晴れ ダンヌンツィオの伝記 ダンヌンツィオの伝記を手に入れた。イタリア人の伝記なので、日本語版で読む…

書評②・福田和也氏『奇妙な廃墟ーフランスにおける反近代主義の系譜とコラボトゥール』(国書刊行会、平成元年) 第一章 アルチュール・ド・ゴビノーについて

書評②・福田和也氏『奇妙な廃墟ーフランスにおける反近代主義の系譜とコラボトゥール』(国書刊行会、平成元年) 第一章 アルチュール・ド・ゴビノーについて 書評②・福田和也氏『奇妙な廃墟ーフランスにおける反近代主義の系譜とコラボトゥール』(国書刊行…

書評・福田和也氏『奇妙な廃墟ーフランスにおける反近代主義の系譜とコラボトゥール』(国書刊行会、平成元年)① 序について

書評・福田和也氏『奇妙な廃墟ーフランスにおける反近代主義の系譜とコラボトゥール』(国書刊行会、平成元年)① 序について Book review, Kazuya Fukuda "Strange Ruins: Genealogy and Collaboration of Anti-modernism in France" (Kokusho Publishing, 1…

祝!累計10000人突破(Grand Total Over10000 PV for 3 years)!ーこれからの抱負みたいなー令和二年七月十九日(日)

祝!累計10000人突破!ーこれからの抱負みたいなー令和二年七月十九日(日) 祝!累計10000人突破! いつもご覧いただき、ありがとうございます。 Grand Total Over10000 PV for 3 years. Thank you for reading us. 約3年前、日常生活のどうしようもなさか…

「渋い声」か、それとも「老人の読経」かそれが問題だーボブ・ディラン『ラフ&ロウディ・ウェイズ』ー令和二年七月十八日(土)

「渋い声」か、それとも「老人の読経」かそれが問題だーボブ・ディラン『ラフ&ロウディ・ウェイズ』ー令和二年七月十八日(土) 昔、聴いていた洋楽のアーティストを久しぶりに購入することはないだろうか? 去年は、アリス・イン・チェインズの『レーニア・…

エズラ・パウンド、ダンヌンツィオ、三島由紀夫ー断捨離の後悔、筒井康隆氏『ダンヌンツィオに夢中』の場合ー令和二年七月十二日(日)

エズラ・パウンド、ダンヌンツィオ、三島由紀夫ー断捨離の後悔、筒井康隆氏『ダンヌンツィオに夢中』の場合ー令和二年七月十二日(日)) 人生の節目、節目に本の断捨離を行って来たことは、以前に書きました。 関連記事:カテゴリー「断捨離」を参照してい…

子規の散種ーリチャード・ライトについて ( 『ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス』の記事より)-令和二年七月四日(土)

子規の散種ーリチャード・ライトについて ( 『ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス』の記事より)-令和二年七月四日(土) 前回、正岡子規の弟子であり、「慢性憂国患者」であった五百木良三(瓢亭)について書かれた松本健一氏の著作を紹介した。五百…

「悪名」の追認ー松本健一氏『昭和史を陰で動かした男』令和二年六月二十七日(土)★★☆☆☆

松本健一氏『昭和史を陰で動かした男ー忘れられたアジテーター五百木瓢亭』(新潮社、2012年)★★☆☆☆ 子規庵 松本健一氏の本であるし、新潮選書であるし、落ち着いた深緑の装丁であるし、何と言っても主題は正岡子規が嘱望した第一の弟子であり、頭山満の衣鉢…

入り身ー『次代へつなぐ 葦津珍彦の精神と思想』ー令和二年六年四日(金)

入り身ー『次代へつなぐ 葦津珍彦の精神と思想』ー令和二年六年四日(金) 「本を読むときに普通の人との読み方と違ふのは、彼は「この場に俺がゐたら、俺ならどうするか」という思ひといふか、問ひを常に抱いて読んでゐた」(『次代へつなぐ 葦津珍彦の精神…

今週手に入れた本・『昭和史を陰で動かした男ー忘れられたアジテーター五百木瓢亭』ー令和二年五月三十日(土)

今週手に入れた本・『昭和史を陰で動かした男ー忘れられたアジテーター五百木瓢亭』ほかー令和二年五月三十日(土) 今週手に入れた本・『昭和史を陰で動かした男ー忘れられたアジテーター五百木瓢亭』ほかー令和二年五月三十日(土) 松本健一氏『昭和史を…

福本和夫氏の田口卯吉評ー福本和夫氏『私の辞書論』(河出書房新社、1977年)よりー令和二年五月八日(金)

福本和夫氏の田口卯吉像ー福本和夫氏『私の辞書論』よりー令和二年五月八日(金) 福本和夫氏と言えば、戦前の共産主義、マルクス主義者として有名だ。 その人物と私にどんな接点があるというのか? 私は10代の頃に、立花隆氏の『日本共産党の研究』の第一巻…

田口卯吉による東海散士『佳人之奇遇』評ー令和二年五月三日(日)

田口卯吉による東海散士『佳人之奇遇』評ー令和二年五月三日(日) 田口卯吉の肖像(「近代日本人の肖像」より) 田口卯吉は、明治の経世家で、幕府の儒者・佐藤一斎の孫の子にあたる。卯吉の祖父慎左衛門は、佐藤一斎の長男なのだが、胆力のある豪の者だっ…

柴四朗とウラービー:山内昌之氏『近代イスラームの挑戦』より 令和二年四月三十日(木)

柴四朗とウラービー:山内昌之氏『近代イスラームの挑戦』より 令和二年四月三十日(木) 歴史家の山内昌之氏の著作『近代イスラームの挑戦』(中公文庫、2016年。原著は1996年)にも柴四朗とウラービー(アラービーともいう)の会見のことが載っている。 ウ…

紹介・臼杵陽氏『「中東」の世界史』(作品社、2018年)★★★★☆ー令和2年4月18日(土)

臼杵陽氏『「中東」の世界史』(作品社、2018年)★★★★☆ー令和2年4月18日(土) 今回は臼杵陽(うすき あきら)氏『「中東」の世界史』(作品社、2018年)の「第3章 植民地化への抵抗運動」を紹介したい。「原理主義」の探求過程で、臼杵氏の『原理主義』(岩…

発端としてのイスラムー呉智英氏『封建主義者かく語りき』の序ついてー令和2年4月16日(木)

発端としてのイスラムー呉智英『封建主義者かく語りき』の序ついてー令和2年4月16日(木) いつも記事を読んでいただきありがとうございます。 Thank you for reading the articles of my blog. 昨年の御代替わりの陽気が、嘘のような世界になってしまいまし…

紹介ー池内恵氏著「約束の地と堕落した女ーアラブ知識人の見たアメリカ」-令和2年3月14日(土)

紹介ー池内恵氏著「約束の地と堕落した女ーアラブ知識人の見たアメリカ」-令和2年3月14日(土) 明治以降の日本の思想を考えるときに、無視出来ない文化圏がイスラムである。 大学・大学院時代の私の念頭に常にあったのは、なぜ日本の大学(例えば法学部)…

相川七瀬さん大学進学おめでとうございます!國學院大学神道文化学部っていいな(笑)令和2年3月15日(日)

相川七瀬さん大学進学おめでとうございます!國學院大学神道文化学部っていいな(笑)令和2年3月15日(日) 相川七瀬さんが高卒認定試験を経て、國學院大学神道文化学部に進学するとのこと。 まずは大学進学おめでとうございます。 私も高校中退し、大検(現…

論語「暴虎馮河して死して悔いなき者は」ー令和2年2月24日(月)晴れ

論語「暴虎馮河して死して悔いなき者は」ー令和2年2月24日(月)晴れ 「子の曰わく、暴虎馮河(ぼうこひょうか)して死して悔いなき者は、吾(わ)れ与(とも)にせざるなり。必ずや事に臨みて懼(おそ)れ、謀(ぼう)を好みて成さん者なり」(述而一〇) …