いまはまだ寒い日々が続くが、もうすぐ春である。
この季節になると新社会人の参考となる記事やパンフレットなどを目にすることがある。
例えば、郵便局で新社会人に向けてお金の貯め方をアドバイスしたパンフレットを見たことがある。
昨日の日経新聞(平成30年2月14日)でも、29面大学欄で会社デビューする新社会人に向けて、心構えや経済的基盤を築くためのアドバイスが載っていた。 記事の中では、渋沢栄一の玄孫でコモンズ投信の渋沢健氏や大和総研の川村雄介氏らが語っている。(以下、「・」に続く文は私による要約)。
「・これからの会社員に必要なものは、語学とITだとよく聞く。だが、歴史を学ぶことが大切だ。また中学生程度の数学を学びなおすことも大事だ。
・20代から自分の労働市場での価値を知っておくこと。転職も珍しくない時代だからだ。
・枠の中にとどまるな。国境をこえて、世界に出ろ。」
そして、別の囲みで、資産作りについてアドバイスしている。
「・健全な社会人生活には経済的な基盤が必要である。
・まずは3年程度で100万円を貯めること。急な入院や転職移行期の備えとなる。
・10年から30年程度かけて、投資信託などで資産形成せよ。
・「つみたてNISA」を活用せよ。最長20年間、運用での配当や利益に税金がかからない。毎年40万円まで積立て可能だ。毎月3万円を投資してみよ。年間40万円で20年間続けていけば、投資元本が800万円、運用がうまきいけば、1000万円程度の資産ができるだろう。
・会社に確定拠出年金制度がある人は、早めに加入せよ。ない人は「iDeCo」(個人型の確定拠出年金)を活用せよ。」
うーん、夢がふくらむ記事だな。希望に満ちた新社会人がうらやましい。同じ日の5面経済欄には「賃金再考 取り残される団塊ジュニア」という記事がある(私はこの世代ではないが)。
「・緩やかながら賃上げが起こり始めている。
・しかし「団塊ジュニア」(1970年代前半に生まれた世代)と呼ばれる40代だけが取り残されている。
・いまの40代前半~半ばの人たちは、バブル崩壊後に大学や高校を卒業した。
・一部の専門家によれば、就職氷河期に職を得られず、スキルや職歴を積めなかった人の賃金が伸びなかったという。
・働き手として最も多い40代の賃金が伸びないと、個人消費も伸びないのではないか。」
自分の夢の方向に進んでいる時なら、低賃金でも胸をはれた。
自分のやりたいことで満足が得られ、他人にも「自分とは何か」を自信をもって名乗れた。だが、夢破れ、賞与も退職金もないシフト制の仕事をしている中、新社会人の資産形成やTVのボーナス・アップのニュースなどを見ると、悲しくなるもんだ。
他の人はどうやって、乗り切っているのだろう。